訪問看護指示書・特別訪問看護指示書の基本と指示料・有効期間の実務

訪問看護指示書・特別訪問看護指示書の基本と指示料・有効期間の実務

訪問看護を始めるには、主治医が発行する「訪問看護指示書」が欠かせません。ところが、有効期間の書き方や特別訪問看護指示書を出せる回数、精神科の指示書との違い、点滴注射指示書の扱いなどは、医師・看護師・事務の間で理解がずれやすいところです。この記事では、在宅療養支援診療所や訪問診療クリニックの医事担当の方、指示書を受け取る訪問看護ステーションの事務の方に向けて、令和8年度診療報酬改定後の告示・通知に基づき、指示書の基本と管理の実務を整理します。

この記事でわかること

  • 訪問看護指示書を交付できる医師と交付先、有効期間の決まり
  • 訪問看護指示料と各加算の点数・算定回数(令和8年6月以降)
  • 特別訪問看護指示書の「一時的に頻回」と14日間の考え方
  • 精神科訪問看護指示書・在宅患者訪問点滴注射指示書との違い
  • 期限切れや記載漏れを防ぐ、事務での台帳管理の方法

訪問看護指示書とは:誰が、誰に、何のために出すのか

訪問看護指示書は、在宅で療養している通院困難な患者について、主治医が診療に基づいて訪問看護の必要性を認め、患者の同意を得て、患者が選んだ訪問看護ステーション等に交付する文書です。訪問看護ステーションは、この指示書と自ら作成する訪問看護計画書に基づいて訪問します。指示書がなければ、ステーションは訪問看護療養費を算定できません。

交付できる医師

指示書を交付できるのは、患者の診療を担う「主治医」です。保険医療機関の保険医のほか、介護老人保健施設・介護医療院の医師も交付できますが、施設の医師が交付できるのは退所時に限られます。精神科訪問看護指示書は、精神科の医師に限られます。

地方厚生局が公表している訪問看護のQ&Aでは、複数の医師から交付された指示書に基づいて訪問看護を行うことはできない(同じ医療機関の同じ診療科で複数の医師が共同で主治医を担っている場合を除く)とされています。また、複数の医療機関にかかっている患者の場合は、原則として訪問看護が必要となる主な傷病を診ている主治医の指示書に基づくことになります。「皮膚科と内科の両方から指示書が届いた」といった場面は、どちらが主治医かを先に整理しておく必要があります。

交付先と、介護保険の訪問看護との関係

訪問看護指示料(区分番号C007)の告示上の交付先には、医療保険の指定訪問看護事業者だけでなく、介護保険の訪問看護・介護予防訪問看護の事業者、訪問看護を行う定期巡回・随時対応型訪問介護看護や複合型サービスの事業者も含まれます。つまり、利用者が介護保険で訪問看護を受ける場合でも主治医の指示書は必要で、その指示料は医療保険で医療機関が算定します。「介護保険の訪問看護だから指示料は取れない」というのはよくある誤解です。

指示書の種類と有効期間を一覧で確認する

指示書にはいくつかの種類があり、様式も通知の別紙様式として示されています。令和8年度改定の留意事項通知と様式に基づき、主なものを整理すると次のとおりです。

指示書の種類 参考様式 有効期間・指示期間 主な用途
訪問看護指示書 別紙様式16 6月以内(1か月の指示なら記載不要) 通常の訪問看護の指示
特別訪問看護指示書 別紙様式18 指示に係る診療の日から14日以内 急性増悪・終末期・退院直後などで一時的に週4回以上必要なとき
精神科訪問看護指示書 別紙様式17 6月以内(1か月の指示なら記載不要) 精神疾患を有する患者への精神科訪問看護
精神科特別訪問看護指示書 別紙様式17の2 指示に係る診療の日から14日以内 服薬中断等による急性増悪時
在宅患者訪問点滴注射指示書 別紙様式16・17の2・18の該当欄 7日以内 週3日以上の点滴注射が必要なとき
介護職員等喀痰吸引等指示書 別紙様式34 6月以内 訪問介護事業所等の介護職員による喀痰吸引等

点滴注射指示書は独立した用紙ではなく、訪問看護指示書(様式16)、精神科特別訪問看護指示書(様式17の2)、特別訪問看護指示書(様式18)の上部に「在宅患者訪問点滴注射指示書」が併記され、該当する指示書を○で囲む形になっています。事務で書類を受け取ったときは、どちらに○が付いているかを必ず確認してください。

有効期間は「6月以内」が上限です。主治医は交付後でも患者の病状に応じて期間を変更できるとされています。病状が変わって指示内容を見直したときは、新しい指示書の開始日と古い指示書の終了日が重ならないか、空白期間ができていないかを確認しましょう。

訪問看護指示料と加算(令和8年6月以降)

指示書を交付した医療機関は、訪問看護指示料を算定します。令和8年厚生労働省告示第69号(医科点数表)で確認できる点数と算定回数は次のとおりです。

項目 点数 算定回数・要件の要点
C007 訪問看護指示料 300点 患者1人につき月1回
特別訪問看護指示加算(C007注2) 100点 月1回(気管カニューレ使用中、真皮を越える褥瘡の状態の患者は月2回)
手順書加算(C007注3) 150点 特定行為研修を修了した看護師に手順書を交付。6月に1回
衛生材料等提供加算(C007注4) 80点 必要な衛生材料・保険医療材料を提供。月1回
I012-2 精神科訪問看護指示料 300点 精神科の医師が交付。月1回
精神科特別訪問看護指示加算 100点 服薬中断等による急性増悪時。月1回
C005-2 在宅患者訪問点滴注射管理指導料 100点(1週につき) 週3日以上の点滴注射を指示し、7日間で3日以上実施した場合
C007-2 介護職員等喀痰吸引等指示料 240点 3月に1回

算定でつまずきやすい点

  • 月1回の上限は交付先の数に関係ありません。同じ月に複数のステーションへ指示書を出しても、指示料は月1回です。
  • 指示料は「交付した場合」に算定するものです。有効期間を6か月とした指示書を1回交付しただけで、6か月間毎月算定できるわけではありません。
  • 指示料は退院時に1回算定できるほか、在宅療養中の患者について月1回を限度に算定できるとされています。
  • 指示を出した医療機関(A)と特別の関係にある医療機関(B)が、その患者に在宅患者訪問看護・指導料などを算定している月は、Aは訪問看護指示料を算定できません。
  • 訪問看護指示料と精神科訪問看護指示料は、どちらか一方しか算定できません。
  • 在宅時医学総合管理料(在医総管)、施設入居時等医学総合管理料、在宅がん医療総合診療料、在宅患者訪問点滴注射管理指導料、在宅療養指導管理料を算定している場合、衛生材料等提供加算はそれらに含まれ、別に算定できません。
  • 令和8年度改定の疑義解釈(その1)では、訪問看護指示書の郵送代は交付する医療機関が負担するとされています。

特別訪問看護指示書:「一時的に頻回」と14日間の考え方

特別訪問看護指示書は、急性増悪、終末期、退院直後などの理由で、週4回以上の頻回な訪問看護を一時的に行う必要があると主治医が認めたときに交付します。留意事項通知では、ここでいう「一時的」とは恒常的な頻回訪問ではなく、状態の変化などで普段の訪問回数では対応できない場合を指すとされ、その理由を指示書に記載することが求められています。様式18にも「一時的に訪問看護が頻回に必要な理由」の欄があります。

期間と回数の数え方

医科の留意事項通知では、頻回の訪問看護は「特別の指示に係る診療の日から14日以内」に限って行うものとされています。一方、訪問看護ステーション側の留意事項通知では「特別訪問看護指示書の交付の日から起算して14日以内」に行った訪問について、月1回(気管カニューレを使用している状態の人、真皮を越える褥瘡の状態の人は月2回)に限り、14日を限度に算定するとされています。診療した日と交付日がずれると、医療機関とステーションで期間の認識が食い違うことがあるので、指示期間の欄に開始日と終了日を明記して共有するのが確実です。地方厚生局の資料では、月2回交付できる人の有効期間は合わせて28日間と説明されています。

「真皮を越える褥瘡」は、NPUAP分類のⅢ度・Ⅳ度、またはDESIGN-R2020分類のD3・D4・D5とされています。様式16の「褥瘡の深さ」欄もこの区分になっています。

介護保険の利用者の場合

要介護・要支援の認定を受けている人の訪問看護は原則として介護保険ですが、特別訪問看護指示書に基づく訪問看護は医療保険の訪問看護療養費で算定できます(医療保険と介護保険の給付調整に関する通知)。指示書が出た時点で、ステーションは請求の保険が切り替わることになるため、交付したら速やかにステーションとケアマネジャーに伝わるようにしておくことが大切です。

適切な例:退院直後で点滴と創処置が必要になり、普段の週2回では対応できないため、退院日の診療に基づき2週間の特別指示を出し、理由を「退院直後の創傷管理と全身状態の観察のため」と具体的に記載した。

注意が必要な例:状態は安定しているが、訪問回数を増やす目的で毎月のように特別指示書を出し、理由欄も前月の写しになっている。通知上、恒常的な頻回訪問は「一時的」に当たらず、理由は指示書ごとに、その時点の状態に即して書く必要があります。

精神科訪問看護指示書との違い

精神科訪問看護指示書は、入院中以外の精神疾患を有する患者について、精神科の医師が交付するものです。通常の訪問看護指示書と似ていますが、次の点が異なります。

比較項目 訪問看護指示書 精神科訪問看護指示書
交付する医師 患者の診療を担う主治医 精神科の医師に限る
同意 患者の同意 患者又はその家族等の同意
交付先(通知上の表記) 訪問看護ステーション等 訪問看護ステーション
特別指示の要件 急性増悪・終末期・退院直後など 服薬中断等による急性増悪
特別指示加算の回数 月1回(一定の状態の人は月2回) 月1回
様式の主な記載項目 装着医療機器、褥瘡の深さ、リハビリ職の訪問時間・回数など 病名告知、治療の受け入れ、複数名訪問・短時間訪問・複数回訪問の必要性など
介護保険の利用者 原則は介護保険(特別指示期間などを除く) 認知症が主傷病の場合を除き医療保険で算定可

地方厚生局のQ&Aでは、精神疾患(認知症を除く)がある患者が他科でも受診している場合、精神科の主治医が他科の情報を踏まえて精神科訪問看護指示書を交付すれば、精神科訪問看護として扱われるとされています。どちらの指示書で動くかによってステーションの算定区分が変わるため、交付する医療機関側でも、どの様式で出したかを台帳に残しておきましょう。

在宅患者訪問点滴注射指示書の実務

在宅患者訪問点滴注射管理指導料(C005-2)は、在宅の通院困難な患者に、主治医が週3日以上の点滴注射が必要と認め、訪問看護ステーション等の看護師等に指示した場合の評価です。要点は次のとおりです。

  1. 指示書に有効期間(7日以内)と指示内容(投与薬剤・投与量・投与方法等)を記載する。
  2. 使用する薬剤、回路、保険医療材料、衛生材料を医療機関から供与する。
  3. 指示した日から7日間のうち3日以上、看護師等が訪問して点滴を実施したら、3日目に100点を算定する。医師が行った点滴は日数に含まれない。
  4. 薬剤料は別に算定できる。3日に満たなかった場合でも、使用した分の薬剤料は算定できる。
  5. ステーションは点滴の終了日などを主治医に速やかに連絡する(電話でもよい)。

在宅中心静脈栄養法指導管理料、在宅麻薬等注射指導管理料、在宅腫瘍化学療法注射指導管理料、在宅強心剤持続投与指導管理料などを算定している場合は、この管理指導料は算定できません。また、給付調整の通知では、小規模多機能型居宅介護事業所や複合型サービス事業所で通所サービス中に行う点滴注射には算定できないとされています。

交付時のチェックと事務での管理方法

交付前に確認したい記載事項チェックリスト

留意事項通知では、指示書に緊急時の連絡先として医療機関の電話番号等を必ず記載すること、原則として主たる傷病名の傷病名コードを記載すること、交付した指示書の写しを診療録に添付することが求められています。様式16の項目とあわせて、交付前に次の点を確認すると漏れが減ります。

  • □ 指示期間(開始日・終了日)が記入され、前回の指示書と空白・重複がない
  • □ 主たる傷病名と傷病名コードが記載されている
  • □ 要介護認定の状況、日常生活自立度、褥瘡の深さが現状と合っている
  • □ 装着・使用医療機器(酸素の流量、カテーテルのサイズと交換頻度など)が具体的
  • □ 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が訪問する場合、1日あたりの時間と週の回数が書かれている
  • □ 緊急時の連絡先と不在時の対応が記載されている
  • □ 2か所のステーションに指示する場合、「他の訪問看護ステーションへの指示」欄にもう一方の名称がある
  • □ 喀痰吸引等を行う訪問介護事業所への指示の有無が記載されている
  • □ 医師の署名(又は記名押印)がある
  • □ 写しを診療録に添付し、交付日・交付方法を記録した

なお、指示書は患者の求めに応じて患者や家族を通じて渡すこともできます。また、医科点数表に関する留意事項通知の通則では、文書による情報提供を電磁的方法で行う場合は、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を守り、所定の電子署名を施すこととされています。メールやクラウドでやり取りする場合は、この条件を満たしているかを確認してください。

期限切れを出さない台帳の作り方

指示書の管理で最も多いトラブルは、有効期間が切れたまま訪問看護が続いてしまうことです。訪問看護療養費は、指示書に記載された有効期間内の訪問について算定するものなので、期限切れは請求に直結します。私が担当している現場では、紙のファイルではなく、次のような1行1指示書の台帳で管理するようにしてから、期限の確認漏れが目に見えて減りました。

列名 入力例・ルール
患者ID・氏名 電子カルテの患者IDをキーにする
指示書の種類 通常/特別/精神科/精神科特別/点滴
交付先ステーション 名称を統一表記で(略称の揺れを防ぐ)
交付日・開始日・終了日 日付型で入力。終了日は空欄にしない
指示料の算定月 レセプトと突合するための列
加算 特別指示・手順書・衛生材料の有無
交付方法・写し添付 郵送/手渡し/電子、診療録添付済みか
次回作成予定日 終了日の1か月前などを自動計算

運用のポイントは三つです。一つ目は、終了日が近づいた指示書を毎週決まった曜日に抽出して、医師の確認に回すことです。二つ目は、特別指示の行を月ごとに数え、通常は月1回、気管カニューレや真皮を越える褥瘡の人は月2回という上限を超えていないかを確認することです。三つ目は、台帳の「指示料の算定月」とレセプトの訪問看護指示料を突き合わせ、交付したのに算定していない、あるいは交付していないのに算定している、という両方向のずれを見つけることです。ステーションから届く訪問看護計画書・報告書の受領状況も同じ台帳で管理すると、衛生材料等提供加算の判断材料もそろいます。

よくある質問

Q. 有効期間を記載しなかった指示書はどう扱われますか。

A. 留意事項通知では、1か月の指示を行う場合は有効期間の記載を要しないとされています。1か月を超える期間を指示するつもりなら、6月以内の範囲で必ず期間を書いてください。記載がなければ、この規定の趣旨から1か月の指示として受け取られることになり、2か月目以降の訪問の根拠があいまいになります。

Q. 介護保険で訪問看護を受けている患者にも、訪問看護指示料は算定できますか。

A. 算定できます。訪問看護指示料の告示上の交付先には、介護保険の訪問看護事業者も含まれています。算定は医療機関が医療保険で行い、月1回が上限です。

Q. 特別訪問看護指示書を月の後半に出し、期間が翌月にまたがった場合はどうなりますか。

A. 特別指示の回数は交付した月で数えるのが基本で、期間は交付(診療)の日から14日以内です。月をまたいでも期間が延びるわけではありません。翌月にあらためて特別指示が必要になった場合は、その時点の病状に基づいて判断し、理由を記載します。

Q. 同じ患者に2か所の訪問看護ステーションから訪問してもらう場合、指示書はどうしますか。

A. 厚生労働大臣が定める疾病等の患者などで2か所のステーションに指示書を交付する場合、それぞれの指示書に、他のステーションへ交付している旨とその名称を記載することとされています。指示料は月1回です。

Q. 手順書加算は誰に対して算定できますか。

A. 特定行為研修を修了した看護師がいる、患者が選んだステーション等に対し、主治医が手順書を交付した場合に、6月に1回算定できます。対象となる特定行為は、気管カニューレの交換、胃ろうカテーテル等の交換、膀胱ろうカテーテルの交換、褥瘡などの壊死組織の除去、創傷に対する陰圧閉鎖療法、持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整、脱水症状に対する輸液による補正です。

まとめ

訪問看護指示書は、医療機関にとっては指示料の算定根拠であり、ステーションにとっては訪問の前提となる書類です。有効期間は6月以内、特別訪問看護指示は「一時的に週4回以上」が必要なときに14日以内、点滴注射指示は7日以内と、期間のルールはそれぞれ異なります。指示料は交付先の数にかかわらず月1回で、在医総管などを算定していれば衛生材料等提供加算は算定できません。種類・期間・加算・算定月を1行1指示書の台帳で管理し、ステーションと開始日・終了日を共有することが、期限切れや算定漏れを防ぐ近道です。

参考資料

本記事は2026年10月時点で公表されている資料をもとに作成しています。算定の可否は個別の状況で異なるため、最終的には告示・通知・疑義解釈や、管轄の地方厚生局・保険者にご確認ください。

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