在医総管と施設総管の違いと算定の基本|対象患者・訪問回数・単一建物・包括範囲

在医総管と施設総管の違いと算定の基本|対象患者・訪問回数・単一建物・包括範囲

訪問診療を始めると、最初に向き合うのが在宅時医学総合管理料(在医総管)と施設入居時等医学総合管理料(施設総管)です。どちらも月1回の管理料ですが、患者がどこに住んでいるか、重症度、訪問回数、同じ建物で何人診ているかで点数が大きく変わり、さらに包括される項目が多いため、請求の誤りが起きやすい項目でもあります。

この記事では、これから在宅医療を始める医療機関の事務担当の方や、在宅部門の請求を引き継いだ方に向けて、2つの管理料の違いと算定の基本を、令和8年度(2026年度)改定後の告示・留意事項通知に沿って整理します。点数は2026年6月以降の告示の値です。

この記事でわかること

  • 在医総管と施設総管を分ける「患者の住まい」の考え方と、施設総管の対象となる施設
  • 点数を決める4つの軸(医療機関の区分・重症度・訪問回数・単一建物診療患者数)
  • 令和8年度改定で「月2回以上」の区分に加わった要件
  • 管理料に包括されて別に請求できない項目と、加算・減算の全体像
  • 算定前に確認したいチェックリスト

2つの管理料の位置づけと算定できる医療機関

留意事項通知では、在医総管・施設総管は「在宅での療養を行っている患者に対するかかりつけ医機能の確立及び在宅での療養の推進を図るもの」と位置づけられています。通院が困難な患者に対して、個別の患者ごとに総合的な在宅療養計画を作成し、定期的に訪問して診療を行い、総合的な医学管理を行った場合に、月1回に限り算定します。

算定できるのは、施設基準を満たして地方厚生局に届け出た、診療所、在宅療養支援病院、許可病床数200床未満の病院です。施設基準では、ケアマネジャーや社会福祉士などの連携調整担当者の配置と、在宅医療を担当する常勤医師が継続的に訪問診療等を行える体制が求められます(へき地診療所には令和8年改定で例外が設けられました)。届出は様式19で行います。

「通院が困難」の考え方について、通知は「少なくとも独歩で家族・介助者等の助けを借りずに通院ができる者などは、通院は容易であると考えられる」と具体例を示しています。訪問診療の導入時に、通院困難の理由をカルテに残しておくことが基本です。

在医総管と施設総管は「患者の住まい」で分かれる

在医総管の対象は、在宅で療養している患者のうち、施設総管の対象となる「施設入居者等」を除いた患者です。施設総管の対象は、留意事項通知が列挙する施設に入居している患者、または一定のサービスを受けている患者です。

区分 対象となる患者(留意事項通知の整理)
施設総管 養護老人ホーム、軽費老人ホーム(A型に限る)、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、認知症対応型共同生活介護事業所、指定障害者支援施設(生活介護を行う施設に限る)に入居している患者。短期入所生活介護・介護予防短期入所生活介護を受けている患者
在医総管 上記以外で在宅療養している通院困難な患者(戸建て、一般の集合住宅など)

特別養護老人ホームなど医師の配置が求められる施設の入所者は、いわゆる給付調整告示等で算定できる範囲が決まっています。施設総管の対象患者は「給付調整告示等の規定によるもの」とされているため、施設の種別ごとに算定できる項目を確認してから訪問を始めてください。

なお、在医総管を算定している患者に施設総管は算定できず、その逆も同じです(在医総管の注6、施設総管の注2)。

点数を決める4つの軸

告示の点数表は、次の4つの組み合わせで1つの点数が決まる構造です。

  1. 医療機関の区分:機能強化型の在宅療養支援診療所(在支診)・在宅療養支援病院(在支病)(病床あり/なし)、それ以外の在支診・在支病、それ以外の医療機関
  2. 重症度:別表第8の2に掲げる「別に厚生労働大臣が定める状態の患者」か
  3. 訪問回数:月2回以上か月1回か、情報通信機器を用いた診療を組み合わせているか
  4. 単一建物診療患者数:1人、2〜9人、10〜19人、20〜49人、50人以上

例として、機能強化型ではない在支診・在支病(区分の「2」)の点数を並べると次のとおりです。

訪問回数等 管理料 1人 2〜9人 10〜19人 20〜49人 50人以上
別表第8の2の患者に月2回以上 在医総管 4,585 3,765 2,385 2,010 1,765
施設総管 3,285 2,685 2,385 2,010 1,765
月2回以上 在医総管 3,685 1,985 985 875 745
施設総管 2,585 1,385 985 875 745
月1回 在医総管 2,285 1,265 665 570 490
施設総管 1,625 905 665 570 490

※単位は点。令和8年6月以降の告示の値(在支診・在支病のうち機能強化型以外)。

表を見ると、単一建物診療患者が10人以上になると在医総管と施設総管の点数は同じで、差がつくのは1人と2〜9人の区分です。他の医療機関区分でも同じ構造になっています。つまり、在医総管と施設総管の取り違えが金額に大きく響くのは、少人数で診ている建物です。

医療機関の区分は「患者に渡している文書」でも決まる

在支診・在支病の届出をしていれば、すべての患者で「1」や「2」の点数になるわけではありません。留意事項通知では、「1」「2」は、在支診・在支病の保険医が往診と訪問看護により24時間対応できる体制を確保し、連絡担当者の氏名、連絡先電話番号、担当日、緊急時の注意事項、往診担当医と訪問看護担当者の氏名等を文書で提供している患者に限って算定し、それ以外の患者に継続して訪問した場合は「3」を算定するとされています。新規患者の受け入れ時に、この文書を渡した記録(控えや交付日)を残すことが、区分の根拠になります。

また、機能強化型の「病床あり」「病床なし」は、施設基準通知の定めによります。連携型の場合は、連携体制を構成する医療機関のうち1つでも緊急時の受入病床を確保していれば、連携内の全ての医療機関が「病床を有する場合」に該当するとされています。

単一建物診療患者数の基本

単一建物診療患者の人数は、患者が住む建築物に住む人のうち、その医療機関が在医総管または施設総管を算定する人の数(特別の関係にある医療機関が算定する人を含む)です。例外として、同居する同一世帯の複数の患者はそれぞれ「1人の場合」で算定します。在医総管では、建物の戸数に対して管理している患者数が10%以下の場合や、戸数が20戸未満で管理している患者が2人以下の場合も「1人の場合」になります。ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護事業所は、ユニットごとの人数とみなすことができます。数え方の詳細と点検方法は別の記事で扱います。

別表第8の2(重症度の高い患者)

厚生労働省の改定概要資料では、別表第8の2の患者として、末期の悪性腫瘍、スモン、指定難病、後天性免疫不全症候群、脊髄損傷、真皮を越える褥瘡の患者と、在宅酸素療法・在宅中心静脈栄養法・在宅成分栄養経管栄養法・在宅自己導尿・在宅人工呼吸・気管切開・留置カテーテル・人工肛門などの状態にある患者が整理されています。該当する状態がカルテと算定中の指導管理料から確認できるようにしておくことが大切です。

訪問回数の数え方

通知では、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「1」または(Ⅱ)(注1のイの場合)を月2回以上算定した場合に「月2回以上」、月1回算定した場合に「月1回」の区分を算定するとされています。臨時の往診は回数に入りません。同居する家族など同じ患家で2人以上を診て、2人目以降に初診料・再診料と特掲診療料のみを算定した場合は、その旨を摘要欄に記載すれば訪問診療料を算定したものとみなすことができます。

情報通信機器を組み合わせる区分

「月2回以上訪問診療等を行い、うち1回以上情報通信機器を用いた診療」と「月1回訪問診療等を行い、2月に1回に限り情報通信機器を用いた診療」の区分は、情報通信機器を用いた診療の届出をしている医療機関で算定できます。訪問診療と情報通信機器を用いた診療を組み合わせた在宅診療計画の作成、患者が自宅で受診すること、原則として同じ医師が行うことなどが通知で求められています。

令和8年度改定で「月2回以上」に加わった要件

2026年6月から、難病等以外の「月2回以上」の区分は、施設基準通知の基準(注16)を満たさない場合、「月1回」の区分で算定することになりました。基準は、直近3か月に訪問診療料を月2回以上算定する患者の延べ診療月数が30月未満であるか、30月以上の場合は重症の患者等の割合が2割以上であることです。重症の患者等には、別表第8の2の患者、包括的支援加算(別表第8の3)の対象患者、在宅がん医療総合診療料の患者が入ります。

計算のイメージ:直近3か月で、訪問診療料を月2回以上算定した患者の延べ診療月数が60月だったとします。30月以上なので割合の計算に進みます。そのうち、別表第8の2の患者で「月2回以上」の区分を算定した回数が8回、月2回以上訪問して包括的支援加算を算定した患者の延べ月数が4月、在宅がん医療総合診療料の延べ月数が0月なら、分子は12、分母は60で割合は2割となり、基準を満たします。分子が11以下なら2割を下回ります。分母からの控除(自院外来へ戻った患者)を使える場合は、その分だけ分母が小さくなります。

該当可否は毎年2月・5月・8月・11月に確認し、変更があれば同月中に届け出ます。新規に在医総管等を届け出る際は、基準に該当するものとして差し支えないとされています(疑義解釈その8)。「重症ではないが念のため月2回」という訪問計画が多い医療機関ほど影響を受けるため、訪問頻度の医学的な理由をカルテに残す運用とあわせて見直しておきましょう。

包括される項目と別に算定できるもの

告示の注3で、在医総管を算定すべき医学管理を行った場合は「別に厚生労働大臣が定める診療に係る費用及び投薬の費用は、所定点数に含まれる」とされています(施設総管も準用)。留意事項通知が算定月に別に算定できないとしている主なものは次のとおりです。

  • 医学管理等:特定疾患療養管理料、小児特定疾患カウンセリング料、小児科療養指導料、てんかん指導料、難病外来指導管理料、皮膚科特定疾患指導管理料、小児悪性腫瘍患者指導管理料、糖尿病透析予防指導管理料、慢性腎臓病透析予防指導管理料、生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)
  • 在宅:在宅寝たきり患者処置指導管理料、訪問看護指示料・精神科訪問看護指示料の衛生材料等提供加算
  • 処置:創傷処置、爪甲除去、穿刺排膿後薬液注入、喀痰吸引、干渉低周波去痰器による喀痰排出、ストーマ処置、皮膚科軟膏処置、膀胱洗浄、後部尿道洗浄、留置カテーテル設置、導尿、介達牽引、矯正固定、変形機械矯正術、消炎鎮痛等処置、腰部又は胸部固定帯固定、低出力レーザー照射、肛門処置、鼻腔栄養

一方で、在宅での総合的な医学管理に必要な薬剤(投薬に係るものを除く)と特定保険医療材料は、薬剤料・特定保険医療材料料として算定できます。また、算定した月に患者が自院の外来を受診しても、投薬の費用は算定できません。

処方箋を交付しない場合の加算(300点)は、同じ月に院外処方箋を交付した訪問診療と交付しない訪問診療が混在した場合や、投与期間が30日を超える薬剤を含む院外処方箋を交付した場合(その投与期間)には算定できない点にも注意が必要です。

主な加算と減算

加算・減算 点数等(2026年6月以降) 主な要件
処方箋を交付しない場合 300点 月内に院外処方がないこと等
在宅移行早期加算 100点 退院後に在宅療養を始めた患者。算定開始月から3月、月1回。退院から1年経過後は不可
頻回訪問加算 初回800点、2回目以降300点 特別な管理を要する状態の患者に月4回以上の往診・訪問診療
包括的支援加算 150点 別表第8の3の状態の患者。該当する状態を摘要欄に記載
在宅療養移行加算1〜4 316/216/216/116点 在支診・在支病以外が外来4回以上受診後に訪問診療へ移行。24時間体制の確保状況で区分
在宅データ提出加算 50点 届出のうえデータを継続提出
在宅医療情報連携加算 100点 ICT(情報通信技術)で多職種が記録した情報を活用した医学管理(月1回)
在宅医療充実体制加算・在宅療養実績加算1・2 人数区分に応じて設定 施設基準の届出
減算(注8) 所定点数の100分の80 区分「3」の医療機関で基準(往診・訪問診療の患者割合9割5分未満の診療所)を満たさない場合
減算(注14) 所定点数の100分の60 単一建物診療患者10人以上の区分で、訪問診療回数等の基準を満たさない場合
区分の読替え(注16) 月2回以上→月1回の点数 重症患者割合等の基準を満たさない場合

包括的支援加算の対象(別表第8の3)は、要介護3以上またはこれに準ずる状態、認知症高齢者の日常生活自立度ランクⅢ以上、週1回以上の訪問看護、訪問診療・訪問看護で注射や処置を受けている状態、麻薬の投薬を受けている状態などで、通知で具体的に定義されています。

算定前のチェックリスト

  • 患者の住まいが施設総管の対象施設かどうかを、入居契約や施設の種別で確認したか
  • 通院困難の理由と、訪問診療の同意書(署名付き)がカルテにあるか
  • 在宅療養計画と説明の要点が診療録に記載されているか
  • 他の医療機関が在医総管・施設総管を算定していないか、患者・家族に照会したか
  • 当月の訪問診療料の算定回数と、管理料の訪問回数区分が一致しているか
  • 別表第8の2・第8の3の該当状態が確認でき、包括的支援加算の状態を摘要欄に書いたか
  • 単一建物診療患者数を建物ごとに集計し、区分を決めたか
  • 包括される処置や指導管理料を別に請求していないか
  • 残薬の確認と服薬管理の記録があるか(令和8年改定で要件化)
  • 在宅がん医療総合診療料を算定した月ではないか

よくある質問

Q. 同じ月に在医総管と施設総管を両方算定することはできますか?

A. できません。在医総管の注6で施設総管を算定している患者には算定しないとされ、施設総管の注2でも同様に定められています。また、在医総管・施設総管は、患者に対して主として診療を行っている保険医が属する1つの医療機関で算定するものとされています。

Q. 他院が在医総管を算定している患者を、専門的な診療のために訪問できますか?

A. 在医総管・施設総管の算定要件を満たす他の医療機関の求めに応じて訪問する場合は、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の「2」の仕組みがあります。この場合でも在医総管は主治医側の1医療機関で算定します。通知では、別の医療機関が診療しようとする場合、患者等に照会して他院の算定の有無を確認することとされています。

Q. 管理料を算定している患者が、同じ月に外来に来た場合の投薬はどうなりますか?

A. 留意事項通知で、管理料を算定した月に自院の外来を受診した場合でも、投薬の費用は算定できないとされています。

Q. 施設に併設する診療所でも施設総管は算定できますか?

A. 通知では、算定対象となる患者が入居・入所する施設と特別の関係にある医療機関でも算定できるとされています。ただし、有料老人ホーム等に併設される医療機関が訪問診療を行う場合の訪問診療料は(Ⅱ)になるなど、訪問診療料の側の扱いが異なります。

まとめ

在医総管と施設総管は、まず患者の住まいで分かれ、そのうえで医療機関の区分、重症度、訪問回数、単一建物診療患者数の組み合わせで点数が決まります。10人以上の建物では両者の点数が同じで、差が出るのは少人数の区分です。令和8年度改定では、月2回以上の区分に重症患者割合等の基準が加わり、四半期ごとの確認が必要になりました。包括される処置や指導管理料の別請求、他院との重複算定は、気づかないまま続くと影響が大きくなる誤りなので、月次点検の項目に組み込んでおきましょう。

参考資料

本記事は2026年10月時点で公表されている資料をもとに作成しています。算定の可否は個別の状況で異なるため、最終的には告示・通知・疑義解釈や、管轄の地方厚生局・保険者にご確認ください。

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