訪問診療料(Ⅰ)(Ⅱ)と往診料の違い|定期と臨時・同一建物・時間外加算・週3回

訪問診療料(Ⅰ)(Ⅱ)と往診料の違い|定期と臨時・同一建物・時間外加算・週3回

在宅医療の請求で最初に整理しておきたいのが、在宅患者訪問診療料と往診料の違いです。どちらも医師が患家に出向いて診療するものですが、算定の考え方はまったく別で、同じ日・翌日の組み合わせや、施設での複数人の診療、夜間や休日の加算など、取り違えやすい場面が多くあります。

この記事では、訪問診療を行う診療所の医事担当の方に向けて、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)(Ⅱ)と往診料の違い、同一建物居住者の判定、緊急・夜間休日・深夜の加算の考え方、週3回の上限と例外を、令和8年度(2026年度)改定後の告示・留意事項通知に沿って整理します。点数は2026年6月以降の告示の値です。

この記事でわかること

  • 往診(臨時)と訪問診療(定期・計画的)の線引き
  • 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の1・2と(Ⅱ)の使い分け
  • 「同一建物居住者」の判定と、同じ患家で2人以上診た場合の扱い
  • 往診料の緊急・夜間休日・深夜の加算と、対象患者・時間帯の考え方
  • 週3回の上限と例外、同じ日・翌日に重なった場合のルール

往診と訪問診療の違い

留意事項通知では、往診料を「患者又は家族等の患者の看護等に当たる者が、保険医療機関に対し電話等で直接往診を求め、当該保険医療機関の医師が往診の必要性を認めた場合に、可及的速やかに患家に赴き診療を行った場合に算定できるもの」とし、定期的・計画的に赴いて診療した場合は算定できないとしています。一方、訪問診療は、通院が困難な患者に、同意を得て、計画的な医学管理のもとで定期的に訪問して行う診療です。

観点 往診料 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の1
きっかけ 患者・家族等からの求め(臨時) 診療計画に基づく定期的な訪問
点数 720点(+再診料等) 同一建物居住者以外890点/同一建物居住者215点
同時に算定するもの 初診料・再診料(外来診療料) 初診料・再診料・往診料は算定しない
回数の考え方 求めがあり、医師が必要性を認めた都度(定期的・計画的なものは不可) 原則週3回まで
主な記録 往診の求め・必要性の判断、診療内容 署名付き同意書、訪問診療の計画、診療時間(開始・終了時刻)と診療場所

定期の訪問日に同じ患家で別の家族も診た場合は、往診料ではなく「同じ患家の2人目以降」の扱い(後述)になります。また、施設から曜日を決めて呼ばれるような場合は、実態が計画的な診療になっていないかを確認する必要があります。通知は、定期又は計画的に行われる対診も往診料の対象外としています。

在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の1・2と(Ⅱ)

(Ⅰ)の1:主治医としての定期的な訪問診療

有料老人ホーム等に併設される医療機関以外の医療機関が、定期的に訪問して診療した場合の点数です。同一建物居住者以外の場合は890点、同一建物居住者の場合は215点です(令和6年度改定時点ではそれぞれ888点、213点)。1日につき1回で、初診料を算定する初診の日には算定できません。

(Ⅰ)の2:他の医療機関の求めによる訪問診療

在宅時医学総合管理料(在医総管)・施設入居時等医学総合管理料(施設総管)・在宅がん医療総合診療料の算定要件を満たす他の医療機関(主治医側)の求めに応じて、その医療機関が診療を求めた傷病について訪問診療を行った場合の点数です。同一建物居住者以外886点、同一建物居住者189点で、訪問診療を開始した月から6月を限度に月1回算定します。別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者は6月を超えて算定でき、その場合は概ね6月ごとに主治医側へ診療状況を情報提供し、該当する疾病等を摘要欄に記載します。

(Ⅱ):有料老人ホーム等に併設される医療機関

有料老人ホーム等に併設される医療機関が、その施設の入居者に訪問診療を行った場合は(Ⅱ)で、152点です。「併設」とは、有料老人ホーム等と同一敷地内または隣接する敷地内に位置することをいいます。「有料老人ホーム等」に入居している患者には、施設総管の算定対象とされている患者のほか、障害福祉サービスを行う施設・事業所や福祉ホームの入居者、小規模多機能型居宅介護などの宿泊サービスを利用中の患者が含まれます。(Ⅱ)にも、定期的な訪問(週3回まで)と、他の医療機関の求めによる訪問(6月を限度に月1回)の2つの場合があります。

同一建物居住者の判定

訪問診療料の「同一建物居住者」は、同じ建築物に住む複数の患者に、同じ医療機関が同じ日に訪問診療を行う場合の患者をいいます。その日にその建物で1人しか訪問診療をしなければ「同一建物居住者以外」の点数です。数えるのは「その日」の人数で、在医総管・施設総管の単一建物診療患者(月単位)とは別の概念です。

通知では、次の患者は同一建物居住者の数から除くとされています。

  • 往診を実施した患者
  • 末期の悪性腫瘍と診断した後に訪問診療を始めた日とその翌日以後59日以内(計60日間)の患者
  • 死亡日と死亡日前29日以内(計30日間)の患者

また、夫婦など同居する同一世帯の複数の患者を同じ患家で診た場合は、1人目が「同一建物居住者以外」の点数、2人目以降は初診料または再診料(外来診療料)と特掲診療料のみを算定します。2人目の診療時間が1時間を超えた場合は、その旨を摘要欄に記載して患家診療時間加算を算定します。

往診でも同様に、同じ患家や、形態からホーム全体を同一の患家とみなすことが適当な有料老人ホーム等で2人以上を診た場合、2人目以降は往診料を算定せず、初診料・再診料等と特掲診療料のみを算定します。

往診料の緊急・夜間休日・深夜の加算

往診料720点には、緊急に行う往診、夜間(深夜を除く)・休日の往診、深夜の往診に対する加算があります。加算の点数は、往診する医療機関の区分と、患者が「別に厚生労働大臣が定める患者」に当たるかで決まります。

医療機関の区分 緊急往診加算 夜間・休日往診加算 深夜往診加算
機能強化型の在宅療養支援診療所(在支診)・在宅療養支援病院(在支病)(病床あり) 850点 1,700点 2,700点
機能強化型の在支診・在支病(病床なし) 750点 1,500点 2,500点
在支診・在支病(機能強化型以外) 650点 1,300点 2,300点
上記以外の医療機関 325点 650点 1,300点
「別に厚生労働大臣が定める患者」以外の患者 325点 405点 485点

※上の4行は「別に厚生労働大臣が定める患者」に対する点数。2026年6月以降の告示の値です。

「別に厚生労働大臣が定める患者」とは

令和6年度改定の概要資料では、この患者として次の4つが示されています。

  1. 往診を行う医療機関で、過去60日以内に在宅患者訪問診療料等を算定している患者
  2. 往診を行う医療機関と連携体制を構築している他の医療機関で、過去60日以内に在宅患者訪問診療料等を算定している患者
  3. 往診を行う医療機関の外来で継続的に診療を受けている患者
  4. 往診を行う医療機関と平時からの連携体制を構築している介護保険施設等に入所する患者

令和8年の告示でも、加算はこの患者に対する点数(イ〜ハ)と、それ以外の患者に対する点数(ニ)に分かれる構造のままです。初めて連絡を受けた患者の往診では、加算の区分が低い点数になることを前提に、受付時に過去の受診歴を確認する流れを作っておくとよいでしょう。

時間帯と「緊急」の考え方

  • 緊急往診加算:標榜時間内で、入院中以外の患者の診療に従事している時に、緊急に求められて往診した場合です。告示の「別に厚生労働大臣が定める時間」は、通知で「専ら診療に従事している時間であって、概ね午前8時から午後1時までの間」とされています。
  • 緊急の判断:往診の結果、急性心筋梗塞、脳血管障害、急性腹症等が予想される場合をいいます(小児には低体温、けいれん、意識障害、急性呼吸不全等も加わります)。自院または連携先が訪問診療を提供している、医学的に終末期と考えられる患者への往診も対象です。
  • 夜間・深夜:夜間は午後6時から午前8時まで(深夜を除く)、深夜は午後10時から午前6時までです。これらの時間帯が標榜時間に含まれる場合は、夜間・休日往診加算と深夜往診加算は算定できません。
  • 休日:日曜日と国民の祝日に関する法律の休日で、1月2日・3日と12月29日〜31日も休日として扱います。

このほか、在宅医療充実体制加算・在宅療養実績加算の届出医療機関の上乗せ、往診時医療情報連携加算(200点)、介護保険施設等連携往診加算(200点)、診療時間が1時間を超えた場合の患家診療時間加算(30分又はその端数を増すごとに100点)があります。

看取りの時期の加算はどちらに付くか

在宅ターミナルケア加算・看取り加算・死亡診断加算は、往診料にも訪問診療料にも規定がありますが、要件が違います。

  • 訪問診療料(Ⅰ)の1の在宅ターミナルケア加算:在宅で死亡した患者(往診・訪問診療の後24時間以内に在宅以外で死亡した場合を含む)に、死亡日と死亡日前14日以内の計15日間に2回以上の往診または訪問診療を行った場合、または退院時共同指導料1を算定したうえで訪問診療を行った場合に算定します。機能強化型の在支診・在支病(病床あり)は6,500点、(病床なし)は5,500点、それ以外の在支診・在支病は4,500点、その他の医療機関は3,500点です。
  • 往診料の在宅ターミナルケア加算:死亡日と死亡日前14日以内に退院時共同指導料1を算定し、かつ往診を行った場合の加算です。通知では、その15日間に訪問診療料(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定している場合は、訪問診療料の側の在宅ターミナルケア加算を算定することとされています。
  • 看取り加算(3,000点)と死亡診断加算(200点):看取り加算には死亡診断の費用が含まれるため、両方は算定できません。

(Ⅱ)の在宅ターミナルケア加算は、機能強化型の在支診・在支病(病床あり)6,200点、(病床なし)5,200点、それ以外の在支診・在支病4,200点、その他3,200点です。いずれも在宅医療充実体制加算等の届出医療機関には上乗せがあります。看取りの月は加算が重なりやすいため、どの区分の点数に付けるかを、死亡日から遡った15日間の往診・訪問診療の記録で確認してから請求してください。

週3回の上限と例外

在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の1は、同一建物居住者以外・同一建物居住者を合わせて患者1人につき週3回が上限です。(Ⅱ)の定期的な訪問(注1のイ)も同じく週3回です。例外は次の2つです。

例外1:別に厚生労働大臣が定める疾病等の患者

通知が列挙する疾病等の患者(特掲診療料の施設基準等の別表第7に掲げるもの)は週3回の上限がありません。末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(一定の重症度のもの)、多系統萎縮症、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、後天性免疫不全症候群、頸髄損傷の患者、人工呼吸器を使用している状態の患者です。

例外2:急性増悪等による一時的な頻回訪問

病状の急性増悪や終末期などで一時的に週4回以上の訪問診療が必要と認め、計画を定めて訪問した場合は、1月に1回に限り、その診療の日から14日以内について14日を限度に算定できます。この場合、診療報酬明細書に「当該訪問診療が必要な旨」「必要を認めた日」「訪問診療を行った日」を付記します。

在支診・在支病が、直近3月の訪問診療の回数と患者数に関する基準(別表第7の疾病等の患者などを除いて、訪問回数を患者数で割った値が12未満であること。訪問回数が120を超えない場合はこの限りでない)に適合しなくなった場合、直近1月に限り、同一患者に同一月5回以上行った訪問診療の5回目以降は所定点数の100分の50で算定する定めもあります(訪問診療料(Ⅰ)の注12)。頻回訪問が多い医療機関は、この基準も月次で確認しておくと安心です。

同じ日・翌日に重なった場合のルール

  • 同じ日:同一の患者について、往診料、訪問診療料(Ⅰ)(Ⅱ)、在宅患者訪問看護・指導料などの「訪問診療料等」は、いずれか1つを算定した日に他のものは算定できません。ただし、訪問診療等の後に病状の急変等で往診した場合の往診料は算定できます。
  • 特別の関係:特別の関係にある他の医療機関が同じ日に訪問診療料等を算定した場合や、特別の関係にある訪問看護ステーションが自院の指示書に基づき訪問看護療養費を算定した日は、訪問診療料等を算定できません(急変時の往診料を除く)。
  • 往診の日・翌日:往診料を算定する往診の日の翌日までに行った訪問診療は算定できません。ただし、在支診・在支病(在支診と連携する医療機関を含む)の医師が、24時間対応体制を文書で提供している患者に往診した場合は、この限りではありません。
  • 定期訪問中の緊急往診:定期的な訪問診療の期間中に緊急で往診した場合は、訪問診療料は算定せず、往診料と再診料(外来診療料)を算定します。症状が治まったと判断した後の定期訪問は、訪問診療料の対象に戻ります。

記録とレセプトのチェックリスト

  • 訪問診療の署名付き同意書が診療録に添付されているか
  • 訪問診療の計画と診療内容の要点、診療時間(開始・終了時刻)と診療場所が記録されているか
  • 往診は、求めの日時・内容と、医師が必要性を認めた判断が記録されているか
  • 同一建物居住者の判定は「その日」の訪問人数で、除外対象の患者を除いて行ったか
  • 同じ患家の2人目以降を、訪問診療料(往診料)ではなく初診料・再診料等で算定しているか
  • 週4回目以降の訪問がある場合、別表第7の疾病等か、急性増悪等の付記をしたか
  • (Ⅰ)の2を6月超で算定する場合、摘要欄に必要事項を記載したか
  • 往診の加算は、時刻・標榜時間・患者の区分で正しい点数になっているか
  • 往診の翌日までの訪問診療を、算定できない医療機関が算定していないか
  • 事前に氏名を伝えていない往診医が往診した場合、往診日と医師名を摘要欄に記載したか

よくある質問

Q. 定期の訪問診療をした日の夜に急変し、もう一度訪問しました。両方算定できますか?

A. 訪問診療等を行った後に病状の急変等で往診した場合の往診料は、同じ日でも算定できるとされています。往診の求めがあった時刻と内容を記録してください。

Q. 往診した翌日が定期の訪問日でした。訪問診療料は算定できますか?

A. 原則として、往診の日の翌日までの訪問診療は算定できません。在支診・在支病(在支診と連携する医療機関を含む)の医師が、24時間対応体制を文書で提供している患者に往診した場合は例外とされています。

Q. 施設の入居者2人を同じ日に往診しました。2人とも往診料を算定できますか?

A. 形態からホーム全体を同一の患家とみなすことが適当な有料老人ホーム等で2人以上を診療した場合、2人目以降は往診料を算定せず、初診料・再診料等と特掲診療料のみを算定します。

Q. 診療開始前の早朝に往診しました。夜間の加算は付きますか?

A. 夜間は午後6時から午前8時までとされていますが、その時間帯が自院の標榜時間に含まれる場合は夜間・休日往診加算と深夜往診加算は算定できません。往診した時刻と標榜時間を照らして判断します。

まとめ

往診は患家の求めによる臨時の診療、訪問診療は計画に基づく定期の診療で、算定の組み合わせも記録の要件も異なります。訪問診療料は(Ⅰ)の1・2と(Ⅱ)を医療機関と患者の関係で使い分け、同一建物居住者は「その日」の人数で判定します。往診料の加算は、医療機関の区分、患者の区分、時刻と標榜時間の3点で決まります。週3回の上限の例外や、同じ日・翌日の組み合わせのルールは誤りが起きやすいため、チェックリストを月次点検に組み込んでおきましょう。

参考資料

本記事は2026年10月時点で公表されている資料をもとに作成しています。算定の可否は個別の状況で異なるため、最終的には告示・通知・疑義解釈や、管轄の地方厚生局・保険者にご確認ください。

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